管理・治療

 

管理・治療(主に耐性獲得を目指す小児の場合)

⼩児の耐性獲得を⽬指す⾷物アレルギーの診断・管理のフローチャート

⾷物アレルギーの栄養食事指導の手引2017

⾷物経⼝負荷試験の結果に基づいた⾷事指導

結果が陽性の場合(症状が出た場合)

(1)完全除去例へのOFC

【少量のOFCで陽性の場合】

  • 除去継続し、1年後を⽬安に再度のOFCを検討する。
  • 微量でOFCが陽性の症例、OFCによりアナフィラキシーが誘発された症例、少量のOFCが繰り返し陽性
    の症例は専⾨の医療機関への紹介を考慮する。

【中等量のOFCで陽性の場合】

  • 少量、または症状を誘発した量より少ない総負荷量でのOFCの実施を考慮する。

(2)少量または中等量が摂取可能な症例へのOFC

  • OFC実施前までの摂取可能量を継続し、半年〜1年後を⽬安に、再度のOFCを検討する。

結果が陰性の場合(症状が出なかった場合)

  • 総負荷量を超えない範囲までを「⾷べられる範囲」とし、⾃宅でも症状が出現しないことを確認する。
  • 少量のOFCで陰性の場合には、⾃宅でも症状が出現しないことを1〜数か⽉間確認した後、中等量のOFCの実施を考慮する。
  • 総負荷量を超えて⾃宅などで少しずつ摂取量を増やすことは危険を伴うため、⾷べたことがない量の摂取は原則として医療機関でOFCとして⾏なう。

除去解除の指⽰

  • 最終的に⽇常摂取量を⾷べられることが確認できれば除去解除とする。
  • 給⾷における除去解除は実際に給⾷で提供される量を⽬安とする。
  • はじめは⾃宅のみで除去解除とするが、体調不良や⾷後に運動した場合などを含め原則半年間以上症状が誘発されないことを確認できれば、学校など⾃宅以外でも除去解除とする。

その他の注意点

  • ⾷物除去実施上の注意
    • ⺟⼦⼿帳を利⽤して成⻑曲線を経過観察し、成⻑発達をモニターしていくこと。⾷物除去を中⽌できる可能性を常に考慮する。
    • すでに感作が成⽴している⾷物を初めて⾷べさせるときには、OFCに準じる注意が必要である。
  • 保育所・幼稚園・⼩学校⼊学前には、⾷物アレルギーが疑われ未摂取の⾷品に関してOFCを⾏い、確定診断しておくことが望ましい。
  • ⾷物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)では、運動2時間前には原因⾷物の摂取を避ける。原因⾷物の完全除去や原因⾷物の摂取に関わらず運動制限を指⽰する必要はない。

病診連携

  • 専⾨医への紹介のタイミングは「図4・5 ⾷物アレルギー診断のフローチャート」を参照
  • ⾃施設でOFCが実施できない場合、近隣の実施医療機関と病診連携し、積極的に患者を紹介する。「表10実施する医療機関の分類と役割」「図6実施する医療機関の選択」を参考にし、リスクのある症例は専⾨の医療機関へ紹介することが望ましい。
  • ⽇本⼩児科学会専⾨医研修施設におけるOFC実施状況は「⾷物アレルギー研究会ホームページ」で検索が可能である。

栄養食事指導

⾷物アレルギーの栄養⾷事指導は診療と並⾏して下記指導項⽬に基づき継続的に⾏う。なお、栄養⾷事指導には管理栄養⼠が関与することが望ましい。

  • 除去すべき⾷品、⾷べられる⾷品など⾷物アレルギーに関する正しい情報を提供する。
  • 除去⾷物に関して摂取可能な範囲とそれに応じた⾷べられる⾷品を⽰す。
  • 過剰な除去に陥らないように指導し、⾷物アレルギーに関する悩みを軽減、解消する。
※⾷物アレルギーに関する管理栄養⼠の資格として、⼩児アレルギーエデュケーター(⽇本⼩児臨床アレルギー学会)、⾷物アレルギー管理栄養⼠・栄養⼠(⽇本栄養⼠会)がある。
詳細は「⾷物アレルギーの栄養⾷事指導の⼿引き2017」を参照

指導のタイミング

  1. 診断後(完全除去、部分解除、完全解除時)
  2. 患者(保護者)から⾷事に関する相談を受けたとき
  3. 定期的な⾷事指導(除去解除できるまで)

指導のポイント

  1. 必要最⼩限の除去の考え⽅
  2. アレルゲン性について(加熱、発酵による変化)
  3. アレルギー物質を含む⾷品表⽰について
  4. 栄養⾯での代替のための具体的な⾷品(特に⽜乳アレルギーの場合のカルシウム補給)
  5. 調理上の注意点

指導時の留意点

  1. ⾷物アレルギー発症や悪化を⼼配して離乳⾷の開始を遅らせる必要はない。
  2. ⼩⻨アレルギーの醤油、⼤⾖アレルギーの醤油・味噌等、以下の表に⽰すものは多くの患者が摂取できる。患者の⽣活の質の向上のためにも、除去指⽰する場合は慎重に⾏なう。
  3. 栄養⾷事指導を受けていても、⽜乳を除去している場合はカルシウムが摂取量に達しないことが多いので、⽜乳アレルゲン除去調製粉乳等で代⽤することが重要である。
    池⽥有希⼦他. ⽇本⼩児アレルギー学会誌 2006;20:119-26
  4. ⾷物アレルギーの栄養⾷事指導料については、9歳未満の患者に対して、保険点数初回⽉1回260点2回⽬以降200点の診療報酬が得られる。

経口免疫療法

定義

経⼝免疫療法(OIT)とは、「⾃然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前のOFCで症状誘発閾値を確認した後に原因⾷物を医師の指導のもとで継続的に経⼝摂取させ、脱感作状態や持続的無反応の状態とした上で、究極的には耐性獲得を⽬指す治療」をいう。

⾷物アレルギー診療ガイドライン2021(案)

経⼝免疫療法の問題点

  • OIT⾃体の問題点と診療体制の問題点がある(下表)。
  • 症状誘発の閾値が不明、もしくは低い症例に、OITとしてではなく、⾃宅で増量する指導を⾏うことは症状誘発リスクが⾼いため、安易に⾏うべきではない。

経⼝免疫療法施⾏のための条件

  • OIT施⾏のためには、施設及び医師に必要な条件を満たす必要がある(下表)。
  • OITは安全性への⼗分な配慮を要するため、⾼度で専⾨的な知識を有する医師が⼀定の条件下で施⾏する必要があり、⾷物アレルギーの⼀般診療としては推奨されない。
⾷物アレルギー診療ガイドライン2021(案)
略語解説
OIToral immunotherapy

食物アレルギー患者への薬物投与

  • 乳糖は散剤の調合に⽤いられたり、各種薬剤(吸⼊薬、カプセル、錠剤、散剤、静注⽤製剤など)に添加されており、⾮常に感受性の⾼い⽜乳アレルギーの患者に対して稀に症状を誘発することがある。特に静注⽤製剤(ソル・メドロール静注⽤40mg)は注意が必要である。
  • 漢⽅薬の中には⼩⻨、ゴマ、モモ、ヤマイモ、ゼラチンなどを含むものが存在するので、注意が必要である。
  • インフルエンザワクチンは、鶏卵アレルギー患者の重症度に関わらず接種可能である。
  • 各薬物の添付⽂書情報は「医薬品医療機器情報提供ホームページ」より検索が可能である。

投与禁忌の医療⽤医薬品

投与禁忌の⼀般⽤医薬品等

乳糖を含有する気管⽀喘息およびインフルエンザの吸⼊治療薬