鶏卵アレルギー

食品の特徴と除去の考え方

  • 鶏卵アレルギーは卵白のアレルゲンが主原因であり、卵黄から除去解除されることが多い。
  • 鶏卵は加熱により、アレルゲン性が低下する。アレルゲン性は、加熱温度や、加熱時間、調理方法によって異なる。このため加熱卵が摂取可能でも、生卵や半熟卵などの摂取には注意する。
  • 鶏肉や魚卵は、鶏卵とアレルゲンが異なるため、基本的に除去する必要はない。
  • 加工食品の原材料である卵殻カルシウム(焼成・未焼成製品)は、摂取することができる。
  • うずらの卵は、食品表示法において特定原材料「卵」の範囲に含まれる。

栄養食事指導のポイント

  • 鶏卵は安価で質のよいたんぱく質源である。これを代替するには、肉や魚、大豆・大豆製品などを用いるとよい。
  • 鶏卵不使用の魚・肉加工品(ちくわやウインナーなど)、マヨネーズ風の調味料が市販されている。また、小麦や牛乳のアレルギーでなければ、食パンやコーンフレークは鶏卵不使用の製品が多く利用できる。加工食品を適切に選択して、献立の幅を広げることを指導する。
  • 鶏卵を含まないクッキーやビスケット、ゼリーなどの菓子類は、給食のおやつや外出時の携帯品として利用できる。また、鶏卵を含まないプレミックス粉の利用で、家庭で手軽に菓子を作ることができる。
  • 鶏卵を材料として使用する天ぷらの衣やハンバーグのつなぎなどは、いも類やでんぷんで代替可能である。家族全員で同じ料理が食べられるよう、食事準備の負担軽減を考慮する。
  • 鶏卵を少量ずつ摂取する指示が医師から出ても、鶏卵独特の臭い、色や味になじめず、実際の食生活に導入しにくい場合がある。カレーやケチャップ、マヨネーズ風調味料など、マスキング効果の高い食品を用いて、目標をもって開始すると、抵抗感の軽減につながることがある。

鶏卵アレルギー 完全除去の場合の食事

①食べられないもの

鶏卵と鶏卵を含む加工食品、その他の鳥の卵 (うずらの卵 など)
★基本的に除去する必要のないもの:鶏肉、魚卵

鶏卵を含む加工食品の例

マヨネーズ、練り製品(かまぼこ、はんぺんなど)、肉類加工品(ハム、ウインナーなど)
調理パン、菓子パン、鶏卵を使用している天ぷらやフライ、鶏卵をつなぎに利用しているハンバーグや肉団子、洋菓子類(クッキー、ケーキ、アイスクリームなど)など

②鶏卵が利用できない場合の調理の工夫

肉料理のつなぎ

片栗粉などのでんぷん、すりおろしたいもやれんこんをつなぎとして使う。

揚げものの衣

水と小麦粉や片栗粉などのでんぷんをといて衣として使う。

洋菓子の材料

  • プリンなどはゼラチンや寒天で固める。
  • ケーキなどは重曹やベーキングパウダーで膨らませる。

料理の彩り

カボチャやトウモロコシ、パプリカ、ターメリックなどの黄色の食材を使う。

③鶏卵の主な栄養素と代替栄養

☆主食(ごはん、パン、麺など)、主菜(肉、魚、大豆製品など)、副菜(野菜、芋類、果物など)のバランスに配慮する。

④鶏卵のアレルギー表示

1) 容器包装された加工食品

鶏卵は容器包装された加工食品に微量でも含まれている場合、必ず表示する義務がある。
したがって、原材料表示欄に鶏卵に関する表記がなければ摂取できる。

  • 鶏卵の代替表記:たまご、鶏卵、あひる卵、うずら卵、タマゴ、玉子、エッグ
  • 鶏卵の特定加工食品については、P32 を参照
  • 「卵殻カルシウム」は摂取することが出来る

2)容器包装されていない料理や加工食品(飲食店、惣菜など)

容器包装されていない料理や加工食品には、どのような原材料であっても表示の義務はない。特に微量で発症したり、重篤な症状を起こしたりする可能性がある場合は販売者に直接確認して利用する。

鶏卵アレルギー の“食べられる範囲” の広げ方

  • 医師は、負荷試験で摂取できた鶏卵の量と調理法から、調理法による症状の出やすさを考慮して“食べられる範囲”を決定する。
  • 加工食品に含まれる鶏卵の量は一様ではないため、医師は、より安全性を配慮した範囲で摂取を許可する。
  • 医師と管理栄養士は、“食べられる範囲”の決定について、あらかじめ指導方針を共有しておくことが望ましい。

下記の食物経口負荷試験結果が陰性だった場合の指導

①総負荷量が少量(加熱卵黄1個、加熱全卵1/32個相当)

⇒負荷試験で摂取したものと同じ食品を負荷試験で摂取した量まで食べることができるが、その他の加工品の摂取は難しい。

②総負荷量が中等量(加熱全卵1/8~1/2個相当)

⇒負荷試験で摂取したものと同じ食品を負荷試験で摂取した量まで食べることができる。 さらに、その摂取を数回繰り返して問題がみられなければ、医師の指示のもとで以下の表を参考に他の加工品を試すことができる。


鶏卵のタンパク質(アレルゲン)は加熱による変性が大きく、加熱時間、加熱温度、材料の鶏卵の量によって症状の出やすさが大きく異なるため、食べられる範囲を広げていく際には十分な注意を要する。

③総負荷量が日常摂取量(加熱全卵1個相当)

⇒負荷試験で摂取したものと同じ食品を負荷試験で摂取した量まで食べることができる。 その摂取量を数回繰り返して問題がみられなければ、医師の指示のもとで鶏卵を含む加工食品の摂取が可能となる。 ただし、非加熱の鶏卵、加熱の甘い鶏卵を含む食品(温泉卵、プリン、茶わん蒸し、オムレツ、かきたま汁など)の摂取の可否は医師の指示に従う。 さらに、摂取後の運動なども考慮して日常生活に支障がない量まで摂取できることを確認し、自宅以外(集団給食や外食など)でも除去の対応は不要となる。