症状出現時の対応

アナフィラキシーとは

アナフィラキシーとは,「アレルゲン等の侵⼊により、複数臓器に全⾝性にアレルギー症状が惹起され、⽣命に危機を与え得る過敏反応」をいう。「アナフィラキシーに⾎圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックという。

⽇本アレルギー学会アナフィラキシーガイドライン

症状出現時の対応

  • OFCによる誘発症状に対しては、臓器ごとに重症度を適切に判断し、速やかに治療を開始する。
  • 経時的に症状の変化を確認し、重症度を再評価する。
  • アナフィラキシーでは、早期のアドレナリンによる治療が死亡率や⼊院率の改善につながる。

即時型症状の臨床所⾒と重症度分類

  • 重症度(グレード)は、臓器ごとに評価し、最も症状グレードの⾼い臓器症状により判定する。
  • グレード1(軽症)の症状が複数あるのみではアナフィラキシーとは判断しない。
  • グレード3(重症)の症状を含む複数臓器の症状、グレード2(中等症)の症状が複数ある場合はアナフィラキシーと診断する。
⾷物アレルギー診療ガイドライン2021(案)

症状出現時の薬物療法

  • グレード2(中等症)以上の症状には原則として治療介⼊を考慮する。
  • グレード3(重症)の症状に対してはアドレナリン筋⾁注射を⾏う。
  • グレード2(中等症)でも①過去の重篤なアナフィラキシーの既往がある場合、②症状の進⾏が激烈な場合、③循環器症状を認める場合、④呼吸器症状で気管⽀拡張薬の吸⼊でも効果がない場合にはアドレナリンの投与を考慮する。
⾷物アレルギー診療ガイドライン2021(案)
用語解説
ヒスタミンH1受容体拮抗薬⽪膚症状に有効であるが、アナフィラキシー出現時の第⼀選択薬ではない。30分〜1時間程度で効果が出る。
経⼝ステロイド薬作⽤発現までに数時間を要し、⼆相性アナフィラキシーを予防する可能性があるが、その効果は⽴証されていない。
β2刺激薬喘鳴、咳嗽、息切れなどの下気道症状に有効であるが、上気道閉塞(嗄声・喉頭絞扼感等)の症状には無効である。

医療機関におけるアナフィラキシー発症時の初期対応

⽇本アレルギー学会アナフィラキシーガイドライン

アナフィラキシーに対する注意点

  1. 症状の進⾏は早く、アドレナリン投与を含めて迅速な対処⾏動が要求される。
  2. ⼀部の症例には、経過中に⼆相性反応が⾒られることがあるため、症状出現後4時間までは医療機関にて経過観察することが望ましい。
  3. ⾃施設での対応が困難であれば、⼊院施設のある医療機関へ搬送することが望ましい。
  4. 気管⽀喘息の存在はアナフィラキシーの重篤化の危険因⼦なのでコントロールを⼗分に⾏う。

医療機関以外でのアナフィラキシー症状出現時の対応(プレホスピタルケア)

⽇本アレルギー学会アナフィラキシーガイドライン

α受容体遮断作用を有する抗精神病薬とアドレナリンの併用禁忌に対する対応

  • アドレナリンは添付⽂書上、ブチロフェノン系、フェノチアジン系などの抗精神病薬、α遮断薬との併⽤禁忌と記載されている。
  • α遮断作⽤を有する抗精神病薬及びα遮断薬を使⽤中の患者に対してもアナフィラキシーショック発現時にはボスミン注等のアドレナリン製剤使⽤が可能となるよう添付⽂書の変更指⽰が通知された。
    平成30年3⽉27⽇厚⽣労働省薬⽣安発0327第2号

アドレナリン自己注射薬 (エピペン 0.3mg、0.15mg)について

  • エピペンは登録医によって処⽅が可能で、2011年から保険適応となった。
  • エピペンの処⽅が勧められる⾷物アレルギー患者は下記の通り。

Allergy 2007:62:857–71

  • エピペンはアナフィラキシーの補助治療を⽬的とした⾃⼰注射薬であるため、使⽤後は直ちに医療機関を受診するよう指導する。
  • 保育所および学校等において緊急の場に居合わせた関係者が、エピペンを使⽤できない状況にある本⼈の代わりに注射することは医師法違反とはならない。
    学校におけるアレルギー疾患の取り組みガイドライン(⽇本学校保健会)
    保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(厚⽣労働省)
    平成25年11⽉27⽇医政医発1127第1号厚⽣労働省医政局医事課⻑通知
  • アナフィラキシーショックで⽣命が危険な状態にある傷病者が、あらかじめエピペンを処⽅されている場合においては、救命救急⼠はエピペンを業務として使⽤することが2009年から可能となった。
  • エピペンを使⽤するタイミングは下表を参考に判断する。
⼀般向けエピペンの適応(⽇本⼩児アレルギー学会)

アドレナリン⾃⼰注射薬(エピペン)の併⽤注意に関して

  • 抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)とα遮断薬はアドレナリン⾃⼰注射薬(エピペン)の「併⽤注意」の薬剤である。
  • これらの薬剤の投与を受けている患者では、アドレナリン⾃⼰注射薬(エピペン)を使⽤した場合に薬理学的に⾎圧低下が起こる恐れがある。