発症予防
- 発症予防は、一次予防として感作を予防すること、二次予防として感作された個体において食物アレルギーの発症を予防することと定義される。
- 「食物アレルギー診療ガイドライン2016」のコンセンサスを示す。
※1 ピーナッツの導入を遅らせることがピーナッツアレルギーの進展のリスクを増大させる可能性が報告され、ピーナッツアレルギーの多い国では乳児期の早期(4~10か月)からピーナッツを含む食品の摂取を開始することが推奨されている。
Du Toit, et al. N Engl J Med 2015; 372: 803-13.
※2 ピーナッツ、鶏卵を生後3か月から摂取させることが、生後6か月以降に開始するよりも食物アレルギーの発症リスクを低減させる可能性が海外から報告された。
Perkin MR, et al. N Engl J Med 2016; 374: 1733-43.
日本小児アレルギー学会「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」
- アトピー性皮膚炎の乳児では、鶏卵の摂取が遅いほど鶏卵アレルギーを発症するリスクが高まることから、鶏卵アレルギー発症予防を目的として、医師の管理のもと、生後6か月から鶏卵の微量摂取を開始することを推奨する。※3
- 鶏卵の摂取を開始する前に、アトピー性皮膚炎を寛解させることが望ましい。※4
- 乳児期のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの管理に精通している医師による診療を受けることを推奨する。
- 鶏卵の感作のみを理由とした安易な鶏卵除去を指導することは推奨されない。
- すでに鶏卵アレルギーの発症が疑われる乳児に安易に鶏卵摂取を促すことは危険であるため、「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した対応をする。日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」
http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=205
Natsume O, et al. Lancet 2017; 389: 276-86
※3 鶏卵以外の食物に関しては、食物アレルギーの発症リスクの低減を目的とした微量摂取は推奨していない。
※4 寛解とは外用剤塗布の有無を問わず皮疹が消失した状態を意味する。