その他

Q1 口腔アレルギー症候群の患児と保護者にはどのような説明を行えば良いですか
口腔アレルギー症候群(OAS: oral allergy syndrome)とは、食品を摂取直後に口唇、口腔、咽頭のかゆみ、イガイガ、血管浮腫、口周囲の蕁麻疹などを呈するアレルギー症状の事です。花粉への反応と交差抗原性から、果物・野菜などに含まれるアレルゲンへ反応し症状を呈することが多く、その場合は花粉-食物アレルギー症候群(PFAS: pollen-food allergy syndrome)とも呼ばれます。
口腔アレルギー症候群では、食べると症状が出るもののみ除去し、全ての果物の除去が必要なわけではありません。また、ジャム・ケチャップなど、加熱・加工品の大部分は摂取可能である事が知られています。
抗ヒスタミン薬内服により症状の緩和が期待でき、症状出現時はアナフィラキシーガイドラインに準じて治療を行いますが、大部分の方は治療が不要です。 さらに詳しく「野菜、果物アレルギー」
Q2 経口免疫療法はどんな治療ですか?
経口免疫療法とは、高年齢になっても微量のアレルゲン摂取で症状を認めるなど、自然には耐性獲得できない症例に対して、原因食物を医師の指導のもとで連日摂取させて、閾値(症状が出現する摂取量)の上昇や脱感作状態(同じアレルギー食物を連日摂取していれば症状が出ない状態)に導き、個々の重症度や経過に応じて耐性獲得を目指す治療法です。
事前の閾値を食物経口負荷試験で確認する必要があり、かつ、症状出現時に緊急的に応じることが不可欠となるため、アレルギー診療を専門とした限られた施設で行われています。また、研究段階の治療であり、一般診療としては推奨されておらず、現時点で保険診療としても認められておりません。
自宅での摂取で症状が誘発される可能性が高く、24時間の救急受診対応や地域の救急医療機関との連携・アドレナリン自己注射薬の処方など、万全の救急対応を期する必要があります。
Q3 食物アレルギーの患児に使用するのに気をつけるべき薬はありますか?
鶏卵アレルギーの患児では、塩化リゾチームを使用した製剤、牛乳アレルギーの患児では、乳糖・タンニン酸アルブミン・耐性乳酸菌製剤・カゼイン・CPP-ACP(リカルデント)を含む製剤に注意が必要です。
乳糖は散剤の調合に使用されたり、各種薬剤に添加されています。多くの牛乳アレルギーの児は乳糖が摂取可能ですが、非常に感受性の高い患者が症状をきたすことが稀にあります。また、乳糖の経口摂取が可能な児でも、乳糖を含む静注用製剤(ソル・メドロール静注用40mg)やドライパウダー製剤(抗インフルエンザ薬や吸入ステロイド製剤など)は、症状を誘発することがあり注意が必要です。
インフルエンザワクチンは、微量な卵蛋白が含まれていますが、数ng/mlと極めて微量なため、卵白特異的IgE抗体が陽性でも、卵加工食品を食べても無症状である児では、接種後の鶏卵アレルギーによる重篤な副反応の報告はありません。鶏卵アレルギーのため、鶏卵完全除去中や鶏卵摂取後にアナフィラキシーを起こした病歴がある児など、接種可否の判断が困難な症例の場合は専門施設へ紹介します。 さらに詳しく「食物アレルギー患者への薬物投与」
Q4 学校や保育園への情報提供はどのようにすれば良いですか?
アレルギー疾患により配慮が必要な児童生徒に対しては、保育所給食においては、「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」を、 幼稚園・学校給食においては、学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)を提出します。
入学または入所(園)時、進学時、新規発症/診断時および転入時に提出し、症状等に変化がない場合も、配慮や管理が必要な間は少なくとも1年ごとに提出を要します。管理指導表に特異的IgE抗体検査結果を記載する必要はありません。
記載は、保護者の意見だけでなく、できるだけ確実な診断に基づいて行います。これは除去が必要な患者に対応を限定し、現場の混乱を防ぐためです。診断に悩む場合は専門施設に紹介ください。少量なら摂取が可能であっても個別対応はせず、事故防止の観点から原因食物の完全除去対応が基本となります。
原則として除去解除の際の再提出は必要なく、学校へは保護者からの連絡で可となっています。項目毎の詳しい記載方法は「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(厚生労働省)」および「学校給食における食物アレルギー対応指針(日本学校保健会)」のそれぞれを参照ください。
Q5 どのようなときに専門医に相談したらよいですか?
複数の食物除去が必要な場合、原因食物の診断が難しい場合、原因不明のアナフィラキシーを繰り返す場合、乳児の湿疹が治りにくい場合には専門医療機関への紹介が必要です。
また、血液検査(抗原特異的IgE抗体価)や皮膚プリックテストが陽性という理由のみで不必要な除去を指示されている場合や、除去解除が進まない場合には、食物アレルギーの正確な診断および除去解除を進めるために食物経口負荷試験を行っている医療機関を受診する必要があります。
診断の見直しや栄養食事指導が必要な場合にも受診をお勧め致します。
専門医は、日本アレルギー学会のホームページから、アレルギー専門医・指導医を専門分野別に検索することが出来ます。または、食物経口負荷試験を行っている施設にご相談ください。