食物経口負荷試験

Q1 食物経口負荷試験はどのようなときに行ったら良いですか?

食物経口負荷試験(OFC: oral food challenge)は、アレルギーが確定しているかもしくは疑われる食品を単回または複数回に分けて摂取し、症状が出現するかどうかを確認する検査です。
食物経口負荷試験は、①確定診断、②安全摂取可能量の決定、③耐性獲得の確認のため、を目的に行います。

① 確定診断

食物アレルギーが疑われる食品を摂取することで、その食品が本当に原因かどうかを確認します。例えば、血液検査で陽性となったが、未摂取であり本当に症状がでるの確認する場合などです。

② 安全摂取可能量の決定

必要最小限の除去のために、段階的に摂取量を設定して食物経口負荷試験を施行することで、安全に摂取できる量を確認することができます。例えば、症状が出たことがはっきりしている食品でも、少量が摂取可能かを確認するような場合です。

③ 耐性獲得の確認

おおむね年齢に応じた日常摂取量で食物経口負荷試験を施行することで、日常生活で通常摂取する量が食べられるようになっているかどうかを確認することができます。例えば、学校生活での解除を目指して、牛乳200mLの負荷試験を行うような場合です。

Q2 食物経口負荷試験の目標量はどのように設定すれば良いですか?

目標量を設定するためには、負荷試験までの詳細な病歴が必要となります。疑われる食品の最近の摂取状況や、偶然の摂取(誤食)によって誘発症状を認めなかった病歴は重要な情報となります。明らかな即時型反応の既往がある場合には誘発された食品の量を確認し、その量より少ない量を目標量に設定します。摂取歴がない、または摂取した量が不明な場合には特異的IgE抗体価などを参考にし即時反応が誘発される可能性を考え目標量を設定していきます。
具体的には、食物アレルギーガイドライン2016にもあるように、少量で症状が誘発されたことがある、特異的IgE抗体価が高値、アナフィラキシーの既往がある、等のハイリスク例の場合は少量(low dose)を目標とした食物経口負荷試験を行い、それが陰性であれば中等量(medium dose)や日常摂取量(full dose)の食物経口負荷試験に進むステップを設定すると良いです。

Q3 食物アレルギーはどのように管理を行っていけば良いですか?

即時型の症状で食物アレルギーが発症した場合や、血液検査や皮膚検査で食物アレルギーと疑われる場合も、 “念のために除去をする”のではなく、“摂取できる範囲の量は摂取する”ように指導をします。必要に応じて段階的に食物経口負荷試験を行い、摂取可能な量を確定させます。
食物経口負荷試験が陽性の場合、基本的には負荷試験前に摂取していた量の摂取(少量で陽性の場合は完全除去)を継続し、半年から一年後に摂取可能量を再評価します。
食物経口負荷試験が陰性の場合、負荷量を超えない範囲で自宅で繰り返し摂取をし、症状がないことを確認します。少量や中等量の負荷試験が陰性で自宅で症状がなければ、それよりも多い量の負荷試験を検討します。
最終的に日常摂取量を摂取できることを確認できれば、まずは自宅のみで解除とし、体調不良・運動前後・入浴後などの状況で摂取可能であることを確認した後に、園や学校でも解除にします。