社会的対応
加工食品のアレルギー表示
アレルギー表示の対象と表示方法
- 容器包装された加工食品及び添加物が表示の対象となる(表24)。
- 外食(ファストフードやレストラン)や弁当、惣菜などの店頭での対面販売は対象外である。任意にアレルギー表示をされていても、法規定に則ったものではないことに留意する。
- 特定原材料等は、原材料表示の原材料の直後に括弧を付して「原材料名(〇〇を含む)」「添加物名(〇〇由来)」と表示される。(個別表示)
- ただし同一の特定原材料等が含まれている場合は、そのうちいずれかに特定原材料等を表示すれば、それ以外の原材料又は添加物のアレルゲン表示は省略することができる。(省略規定)
- 個別表示が困難な場合には、例外として、原材料欄もしくは添加物欄の最後にまとめて表示する方法も認められている。(一括表示)
- 食品表示に関する問い合わせ先︓管轄の自治体(保健所)の食品衛生担当課、または消費者庁
義務表示と推奨表示
- 特定原材料8品目(表示義務)は、容器包装されている加工食品中にごく微量でも(数ppm、数μg/g以上)含まれた場合に必ず表示される。
- 特定原材料に準ずるもの20品目(表示推奨)は、特定原材料に準じた表示が推奨されているが、表示されない場合がある。
- 特定原材料8品目以外のアレルゲン含有については、製造・販売会社への問い合わせが必要である。
- 加工食品は、予告なく規格変更されることがあるので、購入ごとに表示を再確認する。
代替表記、拡大表記
- 特定原材料等と同じものであることが理解できる表示として、「代替表記」、「拡大表記」が認められている。これらには、特定原材料名が明記されないので、見落としに注意する。
- 尚、「特定加工食品」の表示は2020年4月以降は廃止された。
注意喚起表示
- “本品製造工場では○○(特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています”などの表記を注意喚起表示という。
- 原材料欄に特定原材料の表記がなく、特定原材料に対する最重症の患者でなければ、注意喚起表示があっても基本的に摂取できる。
- 注意喚起表示は、製造者の任意で表記される(表示義務はない)。表記がなくても、特定原材料を扱わない製造現場であることを判断することはできない。
園・学校への情報提供(管理指導表)
- 保育所は「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(厚生労働省)」 、学校は「学校におけるアレルギー疾患取り組みガイドライン(日本学校保健会)」を参照し、 対応の充実を促す。
- 保育所給食においては、保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表を、幼稚園・学校給食においては、学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)をもとにした対応が必須である。
- 生活管理指導表の作成にあたって、保護者の希望だけに基づくのではなくて、家庭での摂取状況を十分に問診した上で、できるだけ確実な診断情報を記載するように努めること。アレルギーと診断するべきか迷う食物については、専門施設で正しい診断を受けるように患者を促すこと。
- 生活管理指導表は保険適応となっており、アナフィラキシーの既往歴のある患者もしくは食物アレルギー患者の書類作成時に月1回に限り「診療情報提供書(Ⅰ)200点」を算定できる。
- 給食では誤食事故が発生しやすいため、安全面を優先し段階的対応(部分解除等)ではなく完全解除か完全除去のいずれか二者択一で対応することが望ましい。
- 園医・学校医はもとより、患児主治医は園・学校との連携を密とし、積極的に関わり合いをもつことが求められている。また園・学校からの依頼や問い合わせには、丁寧に対応することが期待されている。